東京高等裁判所 平成元年(行ケ)179号 判決
一 請求の原因一(特許庁における手続の経緯)及び同二(審決の理由の要点)の事実は、当事者間に争いがない。
二 そこで、原告主張の審決の取消事由について、判断する。
1 原告は、審決認定の資料(昭和五八年一一月二日付上申書)は、審判請求人(被告)が弁駁書において「本件で問題にしている測定機械器具における商標の使用とは認め難い」と主張したのに対し、被告が「プラニツクス」なる商標を医療関係の測定機械器具にも使用している事実を証明するために提出したものであることが明白であるにもかかわらず、これを「他人(請求人)に係る商品説明書の一部を利用したものであり」とした審決の認定は誤りである旨主張する。
しかしながら、前記審決の理由の要点によれば、本件審判請求は、本件商標の商標権者である原告が本件商標を日本国内において指定商品中の「測定機械器具」について継続して三年以上使用していないことを理由として商標法第五〇条第一項の規定によりなされたものであつて、この場合、原告は、同条第二項の規定により、右審判請求の登録前三年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る「測定機械器具」について本件商標を使用していること又は使用をしていないことについて正当な理由があることを証明しない限り、右商品に係る商標登録の取消しを免れないところ、審判請求人である被告が「プラニツク」なる商標を医療関係の測定機械器具について使用しているという事実によつては、本件商標の商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが「測定機械器具」に本件商標を使用していることを証明することはできないから、原告主張の事実を立証するために提出された資料(昭和五八年一一月二日付)について「他人(請求人)に係る商品説明書の一部を利用したものであり」、これによつて「本件商標をその指定商品中「測定機械器具」についての使用事実を証明するものと認めることはできない」とした審決の認定、判断に誤りはない。
2 次に、原告は、資料1(本訴甲第三号証)により測定機械器具に本件商標を使用していることが明らかであるのに、「資料1は、本件商標を付した医療補助具に圧力計を付属品として使用した状態を示すにすぎないものである」とした審決の認定、判断は誤りである旨主張する。
しかしながら、弁論の全趣旨に徴し真正に成立したものと認められる甲第三号証によれば、右資料1は、左欄に「プラニツク」なる商品の説明文を、右欄に週刊女性、スポニチ等の記事を重ね合わせたものを記載したパンフレツトであるが、右資料1の作成日付も、記載されている週刊女性、スポニチ等の刊行日付も不明であることが認められるから、これによつて本件商標が本件審判請求の登録前三年以内に使用されたことを証明することはできない。また、右資料1の具体的内容を検討しても、前掲甲第三号証によれば、右資料1には「プラニツク」なる商品(医療補助具)に圧力計を取り付けた写真が掲示されていることが認められるが、この圧力計はもともと「プラニツク」なる商品から独立して商取引における目的物としての流通性を有するものであり、右写真はこの圧力計を「プラニツク」なる商品に付属品として取り付けた状態を示すにすぎないことが認められるから、これをもつて測定機械器具に本件商標を使用したことを証明することはできない。
3 以上のとおりであつて、審決に原告主張の点についての認定、判断の誤りはなく、ほかに原告において本件審判請求の登録前三年以内に日本国内において本件商標をその指定商品中「測定機械器具」について使用したこと、又は使用しないことについて正当な理由があることを認めるに足りる証拠は存しない。
したがつて、本件商標は商標法第五〇条の規定により指定商品中「測定機械器具」についての登録を取り消すべきであるとした審決は正当であつて、審決に原告主張の違法はない。
三 よつて、審決の違法を理由にその取消しを求める原告の本訴請求は失当としてこれを棄却する。